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zoom RSS 『坂の上の雲』を目指した日本/福沢諭吉「移民推進論」と石橋湛山「移民不要論」

<<   作成日時 : 2009/07/06 15:57   >>

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今年は横浜開港150年に為るそうですが、この「近現代の大きな節目」を迎えると言われる3年間(2009年〜2011年)に、NHKはこれからの日本を考える大いなるヒントを探るため、日本の近現代史を描いた番組を放送するそうです。そのなかのスペシャル・ドラマとして、司馬遼太郎原作の『坂の上の雲』が、11月29日(日)から13回にわたり、放映される予定です(なんと第2部は2010年秋放映予定)。この小説は、題名のとおり、明治日本という「少年の国」は坂の上の雲を目指し、一所懸命に坂を登ってきたという、日露戦争を勝ち抜いた明治国家-大日本帝国-を描いたもので、その戦果は朝鮮併合に帰結した。(因みに、来年2010年は朝鮮併合100年にあたります)
欧米諸国に列するため、日本が坂を登ってきた知識的な背景には、学問としての植民学があり、それは、国権伸長論に傾き、日清戦争でも主戦論を展開した、明治の啓蒙思想家・福沢諭吉に始まる。福沢諭吉は、「脱亜論」を主張し、中国・朝鮮への侵略を肯定した。日清戦争後の1896年1月に、福沢諭吉は、日本の人口増殖の将来に備えて、国民の海外移住を奨励する論説を、『時事新報』(福沢諭吉が1882年に創刊した新聞)に執筆し、移民の重要性を強調した。「今や我国の人心は、戦勝の結果として、・・・・・大いに外に向わんとする折柄、経世家たるものは、此機会を外さず、ますます奨励して、実行を期せざる可らず」、「移植の一事の如き、実に国家百年の大計」として、人民の移植の保護、奨励を主張した。
これに反して、石橋湛山は、『東洋経済新報』1913年5月15日号「社説」に、「我に移民の要なし」を書き、移民問題で世人に警鐘を鳴らし、「吾輩は我が国民がかくの如き根拠なき謬想に駆られて、いたずらに帝国主義を奉行し、白人の偏見に油を灌ぎ、はては米人の嫌がるのを無理に移民せんとするなど、無益の葛藤に気を疲らすの、まことに愚なるを思わずんばあらざるなり。」と人口過剰と植民という国民の間違った思想を根底から批判し、移民の不要を説いた。かつて、福沢諭吉が説いた移民推進論に対する痛烈な批判である。石橋湛山は、『時論』(東洋経済新報社『新報』の姉妹誌)の1911年6月号の「社論;哲学的日本を建設すべし」のなかで、我が国今日の人心に食い入っている病弊として、浅薄弱小なる打算主義をあげ、「しからば我が現代の人心は何故にかくの如く浅薄弱小、確信なく、力なきに至ったか、ということである。吾輩はこれに対して直ちにこう答える。曰く、哲学がないからである。言い換えれば自己の立場についての徹底せる智見が彼らに欠けておるが故であると」と指摘し、「吾輩は切に我が国民に勧告する。卿等は宜しくまず哲学を持てよ、自己の立場に対する徹底的の智見を以て一切の問題に対するの覚悟をせよと。即ち言を換えてこれを言うならば、哲学的日本を建設せよ」と呼びかけた。
結局、打算の植民学で戦いに敗れて奔った日本だが、「戦後の復興で、戦争をしなくても繁栄の道があったことを実感しました。が、当時は降伏すれば、日本はつぶれるという思いでした。」(6月25日の読売新聞『時代の証言者』欄)という井形昭弘氏の言葉に、当時の日本人の思いが如実に表れている。今も昔も哲学的日本の建設は難しく、一億総懺悔の反省に始まる戦後60有余年、果たして石橋湛山の「哲学的日本の建設」は、いつ果たせるのだろうか?と思う。

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2009/07/13 03:28

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内 容 ニックネーム/日時
工芸家として、またセカンドステージ大学講師として活躍中の先生ですが、以前テレビで見たときは右手で鉋を引いているのだから、右利きだと思っていました。しかしこの写真では右手にハンマーを手にされているんですから、左右両方とも利き手であることがわかりました。凄いですね。今度実際に作業する姿を見てみたい。

ttp://www.oakv.co.jp/inamoto/profile.html
工芸愛好家
2009/08/11 20:07
左手の誤りでした。すみません。
工芸愛好家
2009/08/11 20:08

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